2004 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド型第一原理分子動力学法による超臨界水中の反応に関する研究
Project/Area Number |
03J04075
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀 拓実 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超臨界水 / 水触媒反応 / QM / MM / DFT / 溶媒和自由エネルギー / Real-Space Grid / 並列計算 / Therory of Energy Representation |
Research Abstract |
本年度は、プログラムの汎用性を高め、超臨界水中の様々な反応系にQM/MM法を適用できるようにするための研究を行い、以下の成果を得た。一連の研究により、超臨界水中での量子化学をベースとした自由エネルギー計算の方法論、及びそれを様々な系に適用できる柔軟なプログラムの開発が完了した。 1.分子内QM/MMプログラムの開発 様々な系に柔軟に適応するために、分子内QM/MM法のプログラムを開発した。これまでに開発したQM/MM法のプログラムをベースに、分子力学計算の汎用パッケージであるTINKERを組み込み分子内QM/MM計算ができるように拡張した。これにより、溶質分子が大規模になっても計算が可能になった。 2.QM/MMプログラムの並列化 現実的な時間で計算を実行できるようにするために、QM/MMプログラムの並列化を行った。量子化学計算部分に採用した実空間グリッド法の利点が充分に発揮され、並列化したプログラムの効率は最大で90%に達した。これは既存のQM/MMプログラムと比べても明らかに優れた結果であると言える。 3.エネルギー表示の理論による反応の自由エネルギー計算 反応を評価する上で、最も重要な量である活性化エネルギーを高速かつ高精度に計算するためにエネルギー表示の理論を導入し、QM/MM法と融合させた。導入したプログラムを適用して、水の自己解離の自由エネルギー変化の計算を行い、超臨界水中でイオン種が溶媒の密度増加に伴って安定化される原因はエントロピーの増加にあることを明らかにした。エネルギー表示の理論の導入により、超臨界水中の反応の活性化自由エネルギーも現実的な時間で定量的に求めることが可能になった。
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