2003 Fiscal Year Annual Research Report
ペロブスカイト型強誘電体リラクサーの構造制御と物性評価
Project/Area Number |
03J04081
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀田 育志 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リラクサー / 超格子 / ペロブスカイト型酸化物 / ジルコン酸チタン酸バリウム / 秩序度 / 強誘電体 / イジングモデル / 鉛フリー |
Research Abstract |
複合ペロブスカイト型酸化物強誘電体のリラクサー現象(緩慢な相転移及び誘電率の周波数分散を示す現象)を引き起こす重要な要因として、結晶の同一サイトに異なる価数のイオンを含むこととそれらイオン配列の秩序度が挙げられている。本研究では、これらのうち、どちらが主な要素であるかを調べる為、価数の揺動の効果が小さい複合ペロブスカイト型酸化物Ba(Zr_xTi_<1-x>)O_3(BZT/x)を対象とした。 人工格子法による秩序度の制御 Pulsed laser deposition法により、BaZrO_3とBaTiO_3ターゲットを交互に切り替えてSrTiO_3単結晶の(111)面上に成長を行うことにより、イオン配列の秩序度の異なるBZT薄膜結晶を作製した。透過電子顕微鏡、X線回折及びX線回折プロファイルの理論計算よりその構造を調べ、デザイン通りの配列秩序度を有する結晶が合成できていることを確認した。秩序度が異なる薄膜結晶の誘電率-温度測定を行い、その結晶が秩序的になるにつれリラクサー現象は抑制され、BZTのリラクサー現象がBサイトイオンの配列秩序に依存することが解った。 3種の相互作用を仮定したイジングモデルの提案 BZTはBサイトに2種のイオンを含むので、Zr-Zr間、Ti-Ti間、Zr-Ti間の3つの相互作用が働くことを仮定したMulti interaction Ising modelを用いて、モンテカルロ法によりその相転移シミュレーションをおこなった。BZTのイオン配列を秩序から無秩序まで変化させながらシミュレーションを行った結果、秩序度が低下するに従って長距離秩序の発達が妨げられることが示された。本計算結果から、同価数系複合ペロブスカイト化合物のリラクサー現象は、2種のBサイトイオン間の3つ相互作用力がその起源であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Y.Hotta, G.W.J.Hassink, T.Kawai, H.Tabata: "Artificial control of order degree state of B-site ions in Ba(Zr, Ti)O_3 by a superlattice technique"Japan Journal of Applied Physics. 42. 5908-5913 (2003)