2003 Fiscal Year Annual Research Report
低速陽電子ビームによる高分子薄膜材料中のナノ空隙評価
Project/Area Number |
03J04085
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺島 孝武 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 陽電子 / ポジトロニウム / ナノ空隙 / 高分子 |
Research Abstract |
高分子の諸特性は原子レベルの大きさのナノ空隙と深く関係があると考えられる。一方、高分子薄膜の表面・界面における性質を明確にすることは、保護漠、高品質複合材料、マイクロエレクトロニクス用の高分子薄膜など、多くの応用面において重要であるが、界面などに存在する空隙を直接測定することにより材料評価を行うことはこれまでほとんど行われてきていない。そこで、材料の諸特性がナノ空隙に帰属すると考え、その関係を明らかにすることを目的とした高分子多層膜における界面研究を行った。まず、放射線源より放出される陽電子を材料研究に応用するために低速陽電子ビームラインの構築を行った。係数率を向上させるため、シミュレーションおよび実測データに基づき電極や機器類の検討、調整を行い、ドップラーブロードニングエネルギー拡がり測定を行うためのビームラインの実用化に成功した。構築した装置を利用し、poly(methylphenylsilane)(PMPS)/poly(vinyl alcohol)(PVA)高分子多層膜の界面研究を行った。実験はサンプル内にて放出されたγ線のスペクトル解析により得られるSparameter、Wparameterの2つのパラメーターによって評価した。また、金をPMPS上に蒸着することにより、バルク内部の空隙量変化を生じさせることができるため、金蒸着を行ったサンプルを比較として測定した。解析により、金蒸着過程によってPMPS層における層の構造に変化が生じる明らかにした。また、PMPSバルク層と界面付近の層とで構造変化があることが示唆された。この実験により高分子多層膜に対してドップラーブロードニング測定を行いSparameter-Wparan eter曲線をプロットすることで、陽電子のトラッピングサイトの追跡を行うことができ、それは高分子多層膜の界面研究において有効であることを示すことができた。
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Research Products
(1 results)