2004 Fiscal Year Annual Research Report
単一粒子レベルでみた光圧による溶液中ナノ粒子の凝集ダイナミクス
Project/Area Number |
03J04103
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
細川 千絵 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | レーザートラッピング / ナノ粒子 / 蛍光相関分光法 / コロイド |
Research Abstract |
本研究はコロイド分散系における凝集核生成の動的機構を明らかにすることを目的とし、ナノ粒子を集光レーザービームの光圧を用いて捕捉し、そこで起こる粒子の集合プロセスをリアルタイムで一粒ずつ追跡することにより、初期段階の核形成過程を解明する。本研究の遂行にあたり、昨年度において光捕捉した単一ナノ粒子の二光子励起蛍光検出および蛍光相関分光を同時に測定するシステムを構築している。本年度は、前者と後者の測定を同時に行うことにより核生成過程を実時間で観測し、光圧ポテンシャル中のナノ粒子のブラウン運動や会合状態が時間とともに進行することを見出した。試料には蛍光分子をドープした粒径24nmの高分子ナノ粒子コロイド分散液を用いた。ナノ粒子の光集合の初期段階において、蛍光相関分光測定で得られる自己相関関数の減衰の時定数はレーザー光の照射時間とともに増加した。減衰の時定数は集光スポット内を拡散するナノ粒子のブラウン運動に起因することから、光圧により粒子濃度の増加および粒子同士のクラスター形成が誘起され、粒子の拡散運動が束縛されると考えられる。一方ナノ粒子の光集合の中・後期段階において集光スポット内に閉じ込められたナノ粒子の数が飽和に達すると、自己相関関数の減衰の時定数がレーザー光の照射時間とともに減少した。また、照射光強度が高い程減少し始める時間は短くなることがわかった、一般に光圧が十分に大きい場合において粒子は光圧ポテンシャル中で調和振動を行うと仮定できることから、粒径が大きく、照射レーザー光強度が高い程、自己相関関数の減衰の時定数は小さくなる。したがってこの段階では、集光スポット内においてナノ粒子が大きなクラスター(核)を形成し、核成長が促進されると考察した。これらの成巣は、ナノ粒子の集合構造が光圧ポテンシャルにより数ミクロンオーダーで作製・制御できることを強く示唆している。
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Research Products
(1 results)