2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳機能におけるDNA相同組換え修復機構の関与について
Project/Area Number |
03J04162
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村井 真知子 東北大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 相同組換え修復 / Xrcc2 / Xrcc3 / B細胞 / 中枢神経系 / DNA二重鎖切断修復 / アポトーシス亢進 / 形態形成異常 |
Research Abstract |
DNA修復機構には、大別して主にDNA一本鎖上で行われる除去修復機構、DNA二重鎖切断修復機構があり、その経路には様々な種類がある。DNA二重鎖切断修復機構には非相同DNA二重鎖切断端結合(NHEJ)と相同組換え修復(HR)とがある。最近、哺乳類においてHR関連遺伝子を欠損したマウスにおいて、神経前駆体細胞の増殖低下・ニューロンにおけるアポトーシス亢進、胎生期における中枢神経系の形態形成異常が示されていることから、私は脳神経系の発達及び機能に相同組換え修復機構が重要であると推測し、特にHRの中心的役割を担うRad51遺伝子ファミリーであり、遺伝子欠損マウスで胎生期における中枢神経系の形態形成異常を示すXrcc2、及び相同組換えのfidelity(忠実度)を調節することが示唆されているXrcc3に注目した。これまでに、成体マウス脳でも相同組換え修復酵素分子群が発現しており、それらは胎生期と異なる発現パターンを示し、脳神経系の発達及び機能においてDNA相同組換え修復酵素分子群が重要であることが示された。DNA相同組換え修復分子群の脳神経系における役割の普遍性を検証するために、ゲノムの再編成によって高度に組織化する点で神経系と類似した免疫系において、B細胞の分化、増殖、免疫応答、アポトーシスにDNA相同組換え修復酵素分子群がどのように関わるか調べた。転写因子NF-κB活性化に必須であり,アポトーシスが亢進されるBCAPを欠損したB細胞にDNA相同組換え修復分子群の遺伝子導入を行い、転写因子NF-κBの活性化や細胞死のシグナル、抗体産生能にDNA相同組換え修復分子群の発現が影響を与えるか解析を行ったが、明らかな差は見られなかった。
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