2003 Fiscal Year Annual Research Report
PCR-arrayシステムを用いた肝細胞癌の遺伝子発現プロファイル解析
Project/Area Number |
03J04175
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒川 幸典 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 肝癌 / 網羅的遺伝子発現解析 / 発現プロファイル / PCR-array / ATAC-PCR / DNAマイクロアレイ |
Research Abstract |
当初の予定通り、現在までに約250症例のヒト肝組織サンプルを用いて、約3000遺伝子における発現量をPCR-arrayシステムを用いて測定した。まず、第一の解析テーマとして、肝癌の癌部と非癌部との間において発現量の変化が大きかった遺伝子を、肝発癌の原因ウイルスであるC型肝炎ウイルス(HCV)およびB型肝炎ウイルス(HBV)別に選別したところ、それぞれ63個と61個(うち共通なものは7個)得られた。また、これらの遺伝子の多くはHBV陽性例とHCV陽性例とでは異なった発現パターンを示していることも確認でき、これらは各原因ウイルス固有の肝発癌関与遺伝子と考えられた(Kurokawa Y.,et al.J Exp Clin Canc Res, in press)。 次に第二のテーマとして、上記の肝炎ウイルスにいずれも罹患していない原因不明のnon-B, C型肝癌20症例の癌部と非癌部、および31症例分の正常肝を用いて、同様の網羅的遺伝子発現解析を行った。non-B, C型肝癌の癌部と非癌部との間で有意に発現量が異なっていた遺伝子は61個、非癌部と正常肝との間では159個得られた。また、測定遺伝子全体での発現プロファイルを比較したところ、癌部と非癌部との間だけでなく、非癌部と正常肝との間においても、そのプロファイルが大きく異なっていた。これにより、non-B, C型肝癌はその発癌過程において、ウイルス性の肝発癌と同様、肝臓全体が何らかの変化を生じた後に、その一部から癌化が生じていることが示唆された(Kurokawa Y., et al. J Hepatol 2003;39:1007-1015)。 この他にも、第三のテーマとして、肝癌の早期再発予測法についての解析が完了し、現在論文を投稿した上で、国内特許にも出願中である。また、第四のテーマとして、肝癌に対する5-FU/IFN-α併用化学療法の感受性予測法についての解析も完了し、現在論文を投稿中である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Yukinori Kurokawa: "Molecular features of non-B, non-C hepatocellular carcinoma : a PCR-array gene expression profiling study"Journal of Hepatology. 39(6). 1004-1012 (2003)
-
[Publications] Yukinori Kurokawa: "PCR-array Gene Expression Profiling of Hepatocellular Carcinoma"Journal of Experimental & Clinical Cancer Research. (in press).