2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04179
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小森 靖則 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 微小アクチュエータ / 分子モーター |
Research Abstract |
ナノメートルサイズの微小アクチュエータの作成は工学、医学、理学など広い分野にインパクトをもたらす研究であり、その実用化に向けて各分野で研究が行われている。しかしながら分子レベルまで物質を小さくすると界面による効果が顕著となることや、アクチュエータ周囲の分子の熱揺動などにより現行の機械をそのまま小さくするのでは機能しなくなるという問題がある。一方で我々の体内には高い完成度を達成した分子モーターと呼ばれる生体分子が存在し、実際に機能している。本研究では生体分子がどのようにして微小な空間に適応し機能しているか解明し、その特性を模倣した人工微小アクチュエータを開発することを目的とした。このためモーター蛋白質が周囲の分子の揺動が存在する環境下で機能する際に重要であると考えられるレール蛋白質に注目し、レール蛋白質の運動能への関与について解析を行った。前年度までにモーター蛋白質がレール蛋白質上を運動する様子を直接観察できる顕微鏡を作り上げ、モーター蛋白質が機能している様子を観察した。またモーター蛋白質のレール蛋白質へ結合頻度を指標としてレール蛋白質とモーター蛋白質の親和性を求めた。さらに運動中のモーター蛋白質前後のレール蛋白質の親和性を比較し、モーター蛋白質の前方でモーター蛋白質とレール蛋白質の結合が起こりやすくなることを明らかにした。これらのことからレール蛋白質はモーター蛋白質と共同して働き、レール蛋白質とモーター蛋白質の親和性が変調することにより運動がおこると考えられた。本年度は解析を自動的に行うコンピュータアプリケーションの開発を行い、解析の精度を向上させた。その結果モーター蛋白質がレール蛋白質に結合するとレール蛋白質が約70ナノメートルにわたって状態変化することがわかった。これらのことから一方向に状態変化が伝播する性質を持つ材料を開発することにより微小アクチュエータが実現できると考えられる。
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