2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04249
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小合 徳幸 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 宇宙マイクロ波背景放射(CMB) / 温度ゆらぎ / 偏光 / 初期スペクトル / 再構成 / WMAP / モンテカルロシミュレーション / 宇宙論パラメータ |
Research Abstract |
現在取り組んでいる研究は、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の非等方性からインフレーションによって生成されたと考えられている初期ゆらぎのパワースペクトルを再構築するというものである。今年度は、昨年2月にリリースされたWMAP衛星によるCMBの温度ゆらぎの精密なデータを用いた研究を行った。実際のデータを用いた再構築を行う際に、観測誤差が無視できないため、従来考えられていたモデルからのズレを調べるには詳しい解析が必要となった。そこで、仮定されたモデルのもとでモンテカルロシミュレーションを行うことによって、再構築された初期スペクトルが実現される確率を求めるという方法を試みた。その結果、スペクトルの一部に標準モデルからのズレが見つかった。これはWMAPチームが間接的な方法で指摘しているものと一致しており、我々の方法が実際の観測データに適応されたとき、正しい結果を導くことが示された。もし観測誤差が十分小さくなれば、このようなズレがよりはっきりしてくるため、今後も詳しい解析が必要である。また、宇宙論パラメータの依存性についても調べた結果、そのようなズレのパラメータ依存性は小さいことが分かった。宇宙論パラメータの制限についてはまだ問題が残されており、その解決も重要である。さらに、より精密な測定が期待されている偏光も考慮した手法も開発中である。偏光を考慮すると、温度ゆらぎとは独立な情報としての初期スペクトルが得られるだけでなく、宇宙の再イオン化や背景重力波などの新たな情報も得られるからである。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Noriyuki Kogo, Makoto Matsumiya, Misuo Sasaki, Junichi Yokoyama: "Reconstructing the primordial spectrum from WMAP data by the cosmic inversion method"Astrophysical Journal. (印刷中). (2004)