2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04249
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小合 徳幸 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 宇宙マイクロ波背景放射 / 温度ゆらぎ / 偏光 / 初期スペクトル / 再構築 / 宇宙論パラメータ / モンテカルロシミュレーション / 観測誤差 |
Research Abstract |
我々が現在取り組んでいる研究は、宇宙初期にインフレーションから生成されたと考えられている初期密度ゆらぎのパワースペクトルを、現在観測される宇宙マイクロ波背景放射(CMB)のゆらぎから再構築するということである。特に本研究では、CMBの温度ゆらぎだけでなく偏光も用いた再構築の方法を考える。今年度は、実際に偏光を考慮した再構築の枠組みを完成させた。その結果、温度ゆらぎと偏光を各々独立に用いた場合には特異点による数値不安定が起こるが、それらを組み合わせて同時に用いるとその問題が解決され、正しい解が得られることが分かった。なぜなら、特異点がゆらぎの輸送関数のゼロ点に対応しており、温度ゆらぎと偏光ではそれらの位置が異なるからである。また、再構築の際に間違った宇宙論パラメータを用いた場合、偏光の温度ゆらぎに対する相対的な寄与によって初期スペクトルの形が変わってしまうことを発見した。このことを用いて、初期スペクトルの形を仮定しない宇宙論パラメータの制限の可能性についても調べた。具体的には、将来の観測で予想される観測誤差を考慮して、モンテカルロシミュレーションを行い、宇宙論パラメータに対する誤差を評価した。その結果、従来のパラメータフィッティングの方法ほど強い制限はできないが、初期スペクトルの関数形の仮定なしに宇宙論パラメータに対する制限をある程度与えることができることを示した。現在、このような枠組みをもとに、宇宙の再イオン化や背景重力波についてもどのようにしてそれらの情報をフィッティングによるバイアスなしに得るべきか検討中である。
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Research Products
(2 results)