2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04258
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉山 慎也 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 天文学 / 光電離プラズマ / 電離非平衡 / レート方程式 / コンパクト天体 |
Research Abstract |
今年度は、半古典近似波動関数をうまく生かした原子過程計算によって任意の原子データを得られる計算コードを元に、原子、イオンの各レベルの存在確率(ポピュレーション)を時間依存で解く非定常レート方程式の数値計算コード開発を行った。また、この計算コードの応用として、ガンマ線バースト(GRB)周りの光電離した非定常プラズマから放射されるライン基線、再結合線のスペクトルが、時間によりどの様に変化するかについて数値計算により研究を行い、その成果を学会、国際会議等で発表した。今年度の補助金は主に上記の研究を遂行するためのパソコン、ソフトウエア類の購入費と研究会のための旅費に当てられた。 1.当初の目的であった時間ステップごとに原子データを計算するというのは効率が悪いという結論にいたった。というのも現在は輻射の輸送を解いていない。この場合、時間ステップは短くなり、原子データの計算時間がネックとなる。また、一部の原子データの精度問題や禁制遷移をどう計算するか?などの問題をもあり、今後の課題ではある。しかしながら、原子データの同時計算は、非平衡スペクトルを扱うには必要不可欠であり、リーズナブルな近似法が求められる。現時点では、あらかじめ詳細に計算された原子データを利用し、研究を進めている。 2.ガンマ線バーストの残光の中には輝線が観測されているものがあり、GRB周りの環境を探る重要な手がかりである。この輝線は出てくるプラズマよりも短いタイムスケールを持っており、電離非平衡状態になっていると考えられる。そこで、開発した非定常レート方程式計算コードを使いモデル計算を行った。その結果発光スペクトルは時間とともに劇的に変化し、ライン輝線よりも再結合線が強く効いてくることが結論づけられた。情報の収集と成果を研究会等で発表するため補助金を活用した。
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