2003 Fiscal Year Annual Research Report
共役系高分子の電子・光物性と高効率有機EL及びレーザーデバイス応用に関する研究
Project/Area Number |
03J04265
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 悠一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 導電性高分子 / 微小共振器構造 / レーザー発振 / マイクロリング / 蛍光収率 / π共役長 |
Research Abstract |
本年度の研究計画は、ヘテロ原子含有共役高分子の諸物性を測定し、レーザー光励起によるスペクトルの尖鋭化の検討であった。本年度の研究で得られた知見と業績をまとめると、次のようになる。 まず我々は導電性高分子の主鎖中にπ共役系を切断し、π共役長を制御するためにスズ原子を導入したスズ含有共役高分子の溶液状態および薄膜状態での光学的物性を測定した。その結果、従来知られている短波長(青色)発光導電性高分子と比較して非常に優れた蛍光収率を示すことを見いだした。次に、電気化学測定を行うことによりスズ原子含有共役高分子のエネルギーバンド構造を明らかにした。また光励起時における一重項励起子からの発光緩和過程を超短パルスレーザーを用いて測定し、蛍光寿命を算出したところ、蛍光寿命の長いものほど蛍光収率が大きくなるという比例関係を見いだした。さらにレーザー光励起による蛍光を測定したところ、強励起時において半値幅が80nmから5nm程度にまで減少し、蛍光スペクトル尖鋭化を観測した。以上のことより高分子レーザー材料としての応用が可能であると判断し、共振器構造を用いたレーザー発振を試みた。共振器として、光閉じこめ効果が高く、共振器の作製が容易な微小共振器構造を考え、光ファイバ上にヘテロ原子含有共役高分子薄膜を形成させたマイクロリング構造の作製に成功した。この構造を用いて、レーザー光励起により多モードレーザー発振することを見いだした。また、電極上に薄膜を形成することにより電界発光素子としての応用に成功した。
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