2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04285
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩永 茂樹 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カルシウムイオン / 刺激 / 加工 / 非線形光学 / 細胞 |
Research Abstract |
細胞機能の光制御を目指し,細胞を光刺激する際に必要なレーザー強度,レーザのパルス数,波長を調べた.HeLa細胞を試料として用い,レーザー照射後に細胞内で誘起されるカルシウム波を観察し,その発生確率を測定することで評価した.1パルス(1.7ps)による細胞の刺激を行い,細胞内でカルシウム波が誘起されることを確認した.カルシウム波を誘起するには,レーザーのピーク強度で約4kW以上のパルスが必要であった(倍率60倍,NA0.9の対物レンズで集光させた場合).フェムト秒パルスを用いた場合(80fs)に必要なピーク強度も約4kWであるため,レーザーのピーク強度に依存してカルシウムイオン波が誘起されると考えられる.また細胞を刺激する波長の影響も調べた.HeLa細胞を刺激する波長として720nm,750nm,780pmの3種類の波長を用いた.各波長で,レーザーの平均強度を変え,その際のカルシウム波発生確立を測定した.レーザーの波長を短くすると、より低いレーザー強度でカルシウム波が誘起されることがわかった.50%の確率でカルシウム波を誘起するのに必要なレーザー平均強度は,720nm,750nm,780nmの場合に,それぞれ約25mW,約32mW,約39mWであった(レーザーの照射時間が8msの場合). 今後,さらに光と細胞の相互作用をもたらす物理条件を把握し,その結果をもとに,生体細胞を刺激,加工するための装置の設計,開発を行う.開発した装置を用いて,光刺激下で誘起される細胞活動の理解およびその制御を行う.
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