2004 Fiscal Year Annual Research Report
π-d系の理論的解析,純有機磁性伝導体のモデル化と量子化学的DMRG法の開発
Project/Area Number |
03J04302
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷口 岳志 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スピロビスフェナレニル / スピン分極密度汎関数法 / ドナーラジカル・アクセプタ系 / ハバード模型 / ハイゼンベルク模型 / DMRG / ALPS / 有機磁性伝導体 |
Research Abstract |
スピロビスフェナレニルのX線結晶構造に基く全ての二量体について,スピン分極混成密度汎関数理論(UHDFT)に基づくab initio MO法を用いて分子間磁気的相互作用を評価し,分子間電子移動を見積ることで伝導経路について考察した.低温での構造では唯一0でないπ二量体間の反強磁性的相互作用が、全体の磁性を決定していると考えられる.また,伝導についてもこのπ二量体を通る経路が関わっていると言える.次に高温での構造については,π二量体間の反強磁性相互作用が弱まることに加え,ある分子対が強磁性的相互作用を示すことが判明した.したがって,外場の温度の他にこの強磁牲相互作用が寄与していると考えられる。 分子内電荷移動(CT)を起こすドナー・アクセプタ(D-R-A)型を想定した光誘起型有機磁性伝導体のモデルとして,フェナジン誘導体を提案した.幾つかのアクセプタを配した場合について,それらの分子内スピン相互作用を時間依存(TD-)UHDFTを用いて,ハイゼンベルク模型の有効交換積分値や励起エネルギーを評価した.ジヒドロフェナジン-フェニルイミノニトロキシドとTCNQ(またはアジTCNQ)の組み合わせでは,最適分子間距離について数割の電荷移動がDA間に見られた.第一励起エネルギーはIRの程度でこの組み合わせに限れば第一励起状態は三重項であった.光誘起型有機磁性体のモデルとしては有望な結果である.分子間の磁気的相互作用は非常に弱い強磁性的相互作用であり,これは第一励起状態でも維持されることが分かった。 量子化学計算で決定したパラメータを用いた物理量を計算するためのソフトウェアALPSおよびSPINPACKを導入し,帯磁率の温度依存性などを計算することができた.強結合近似について非相互作用系のDMRGを用いて物理量を計算することができた.
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Research Products
(3 results)