2005 Fiscal Year Annual Research Report
有機合成化学的手法によるホヤ精子活性化・誘引物質の作用機構解明
Project/Area Number |
03J04303
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
土川 博史 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ホヤ精子活性化・誘引物質 / SAAF / ビオチン化 / 化学合成 |
Research Abstract |
今年度はSAAFのより効率的な合成法を確立し、さらに4位にビオチンを導入したビオチン化SAAFの合成に成功した。前年度の実験よりSAAFの硫酸基を1つでも除去すると活性が大きく低下するという知見が得られたので、今回4位ヒドロキシル基をビオチン導入部位として選んだ。 実際のプローブ合成に先立ち、まずSAAF合成中間体のより効率的な合成を行った。以前のSAAF合成法では3〜5位の立体制御に問題が残されていたが、高ジアステレオ選択的反応を組み合わせることによって解決した。すなわち、ケノデオキシコール酸から誘導した4,5-不飽和-3-アルコール体の二重結合の転移を伴った還元、得られた3,4-を二重結合のエポキシ化、続くエポキシドのアキシャル開裂反応により、SAAF骨格を有する中間体3-ヒドロキシ-4-アセトキシ-7-ベンジルオキシメチルエーテル体(1)を選択的に高収率で得ることに成功した。これによりSAAFの分子プローブ化に必要な中間体を供給するだけでなく、SAAF自体も100mgというスケールでの合成に成功した。 次にビオチン化SAAFの合成を行った。まず1から側鎖の導入、保護基の変換を経て鍵中間体である3,26-TBSエーテル-4-ヒドロキシ-7-ベンジルオキシメチルエーテル体(2)を合成した。4位ヒドロキシル基に対しCbz-β-アラニンを縮合させてリンカーを導入し、TBS基の脱保護、硫酸化後、水素添加により7位とリンカーのアミノ基の脱保護を同時に行った。最後にアミノ基をビオチニルスクシンイミドと縮合させることで目的とする4位ビオチン化SAAFの合成に成功した。
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