2004 Fiscal Year Annual Research Report
非線形電気化学振動現象を用いた新しいナノ構造形成法の開拓
Project/Area Number |
03J04328
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
酒井 将一郎 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 電気化学振動 / 金属電折 / 多層構造 / ナノ構造 / 誘起共折 |
Research Abstract |
これまでの研究で、SnとCuの共析において陽イオン性界面活性剤を加えることにより電流振動が現れ、それによりSn-rich層とSn-poor層とがナノメートルスケールで交互に積層した多層膜が析出していることを明らかにしている。そこで、振動条件を変えることで振動を変調し、その結果として各層の膜厚の制御を試みた。 SnCu共析系において、金属イオン濃度を減少させると電流の振動波形の高電流状態の間隔が短くなることが明らかとなった。金属析出は主に高電流状態ときに起こるため、金属イオン濃度を下げることにより多層膜各層の厚さが小さくなることが分かる。また、AEMによる深さ分析結果から計算した膜厚と通電量から計算した膜厚はほぼ一致しており、少なくとも一層の厚さを40〜100nmの範囲で制御可能ことが明らかとなった。さらに、このような多層構造はミリメートルスケールという巨視的な範囲に形成されていることを明らかにした。このSnCu共析に伴う振動現象に関する論文をJournal of the Physical Chemistry Bに投稿し、すでに受理されている。 さらに、磁性材料への発展を目指し、新たに誘起共析に伴う振動現象、およびそれに同期した多層構造形成についてinr-situ EQCM法などを用いて機構解明を行った。誘起共析とは水溶液中から単独では電析できないP、Wなどが、鉄族金属の存在により共析する現象である。今回、NiP、NiW及び、CoWの共析について実験を行い負性抵抗(NDR)が現れることを見出した。これらのNDRは吸着H_2PO_2^-、および吸着WO_4^<2->(もしくは類似の反応中間体)による促進効果により生じるというメカニズムを提案している。このメカニズムにより、電位振動の正の端ではP-rich層(W-rich層)が負の端ではP-poor層(W-poor層)が形成していると考えられる。
|
Research Products
(3 results)