2005 Fiscal Year Annual Research Report
非線形電気化学振動現象を用いた新しいナノ構造形成法の開拓
Project/Area Number |
03J04328
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
酒井 将一郎 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 電気化学振動 / 金属電析 / 多層構造 / 誘起共析 |
Research Abstract |
これまでの研究で、電流振動や電位振動に同期して、SnCuの多層構造やCuの層状構造が形成することを明らかにしている。さらに、工業的に有用な材料合成への展開を目指し、新たに誘起共析について研究を行い、NiP、NiW及び、CoWの共析において負性抵抗(NDR)が現れることを見出している。 そこで、in-situ EQCM法やオージェ電子分光法などを用いて誘起共析系における振動現象の機構解明を行った。誘起共析とは水溶液中から単独では電析できないP、Wなどが、鉄族金属の存在により共析する現象である。 in-situ EQCM法の結果から、誘起共析系において、共析元素の化合物(H_2PO_2^-,WO_4^<2->等)が溶液に存在するときのみNDRが生じることが分かった。さらに、このNDRは、電析反応に対して促進効果をもつ吸着負イオン(吸着H_2PO_2^-,WO_4^<2->等)が脱着することから生じることも明らかとなった。また、このNDR領域に電流値を固定すると自発的に電位が振動する。オージェ電子分光法の深さ分析より、この電位振動下で電析させた合金薄膜では層状構造が形成されていることが明らかとなった。詳しい解析の結果、この層状構造は電位振動に同期して(促進効果を持つ)H_2PO_2^-,WO_4^<2->等が吸脱着することにより形成することが明らかになった。 さらに、三次元的な構造形成を目指し、SnCuの共析系における時空間パターンの観察を行った。リング電極を用いた研究の結果、作用極の近くに参照電極を配置することで、活性な部分がリング電極上をぐるぐると回転するパターンなどが観測された。この系では振動に同期してSnCu多層構造が形成されるため、この回転波と組み合わせることにより、SnCuのらせん構造が形成すると予想される。
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Research Products
(3 results)