2005 Fiscal Year Annual Research Report
植物ホルモンであるサイトカイニンの生理作用、及び作用分子機構の解明
Project/Area Number |
03J04343
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
樋口 雅之 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | サイトカイニン / シロイヌナズナ / ヒスチジンキナーゼ |
Research Abstract |
サイトカイニン情報伝達機構の分子的解析を主に行った。サイトカイニン情報伝達は、ATPのリン酸基がサイトカイニン受容体(ヒスチジンキナーゼ)のHis残基から自身のAsp残基、さらにリン酸基転移メディエーター(HPt)のHis残基、レスポンスレギュレーター(RR)のAsp残基へとHis-Asp残基間を交互に転移していくことで、細胞外のサイトカイニン情報が核内へと伝達される。 昨年度に引き続きin vitroと酵母それぞれのサイトカイニン受容系を用いサイトカイニン受容機構の解析を行った。これらの系で、受容体であるCRE1がサイトカイニン依存的にシロイヌナズナのHPtタンパク質(AHP1,AHP2,AHP3,AHP5)に対してもリン酸基を供給する能力と奪う能力を持っていることを示した。さらに変異を導入したCRE1を用いることで、リン酸基を奪う活性にはCRE1のリン酸転移に必須のHis、Asp残基のうち、His残基は必要でないことを確認した。 またシロイヌナズナのHPt遺伝子と非常に相同性の高いAHP6の分子機能についてもin vitroの系を用いて解析を行った。このAHP6はリン酸転移に必須の保存されたHis残基を欠失しているため、リン酸転移を行えない機能不全のHPt遺伝子であると考えられていたが、共同研究を行っているHelariutta教授の研究室でサイトカイニン情報伝達系の負の調節因子として単離されてきた。解析の結果、AHP6はヒスチジンキナーゼのHis残基からAsp残基への、またAHP1からシロイヌナズナのRRの一つであるARR1へのリン酸転移をそれぞれ阻害する作用を持つことが確認された。細胞内でAHP6が主に核内に存在することがわかっており、そのことからAHP6は主にAHPsからARRsへのリン酸転移を阻害することで植物のサイトカイニン情報伝達の負の制御を行っていると考えられる。
|
Research Products
(1 results)