2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経幹細胞の運命決定における神経ペプチドPACAPの役割の解明
Project/Area Number |
03J04349
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣瀬 惠 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 遺伝子 / 細胞・組織 / 発生・分化 / 脳・神経 / 幹細胞 / 再生医学 |
Research Abstract |
神経幹細胞の増殖・分化に対するPACAPの作用の解明 我々はこれまでに、PACAPがbFGF依存性の神経幹細胞増殖を抑制する分化促進因子であることを示唆してきた。そこで、本年度は、神経幹細胞の自己複製能および分化に与えるPACAPの影響について解析を行った。 神経幹細胞の選択的培養法であるneurosphere法を用いて、胎生14.5日齢ラット大脳皮質から神経幹細胞を調整した。本培養法において、細胞が自己複製能を持つのであれば継代培養を行っても再びneurosphere形成することを指標として、神経幹細胞の自己複製能に対するPACAPの影響を検討した。その結果、Primary sphere培養時にPACAPを添加することにより、継代後に形成されるsecondary sphereの数は約30%減少することが示された。このことから、PACAPにより神経幹細胞の自己複製能が低下することが明らかになった。 また、PACAPが神経幹細胞を神経細胞、アストロサイト、オリゴデンドロサイトのいずれの細胞へ分化誘導するかについて検討を行った。本検討には、胎生14.5日齢ラット大脳皮質より調整し、単層培養系にて培養した神経幹細胞を用いた。増殖因子bFGFを除去した分化条件においてPACAPを処置して6日間培養後、神経系の各種分化マーカーに対する抗体を用いて蛍光免疫染色を行った。その結果、神経幹細胞マーカーnestin、アストロサイトマーカーGFAP、オリゴデンドロサイトマーカーCNPaseの陽性細胞数には大きな変化はみられなかったが、神経細胞マーカーMAP2の陽性細胞数は100nM PACAPにより増加することが明らかになった。これらのことより、PACAPは神経幹細胞から神経細胞への分化を促進することが示唆された。
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Research Products
(1 results)