2004 Fiscal Year Annual Research Report
グラム陰性菌初のABC型薬剤排出輸送体MacABの構造機能解析
Project/Area Number |
03J04363
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 伸好 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ABC transporter / macrolide / drug efflux |
Research Abstract |
ATP binding cassette(ABC)輸送体は、生物界に普遍的に存在し、様々な物質を輸送する膜蛋白である。我々が発見した薬剤排出タンパクMacBは、グラム陰性菌で初めて同定されたABC型薬剤排出蛋白であり、MFPのMacA、TolCと共に機能することで、MacBは菌体外へ直接的にエリスロマイシンを排出する。また、私は現在までに、MacBがABC輸送体で初めて4回膜貫通構造をとることを実験的に証明した。 本年度はMacBの輸送機構解明のため、さらに詳細な構造情報を得る事を目的として実験を行なった。原子レベルでの構造情報を得る方法として、3次元結晶を用いたX線結晶構造解析を行なう事とした。この方法における一番の障壁は良質の結晶を得る事である。一般的に膜蛋白の結晶化は特に困難なことで知られている。その大きな理由として大量の精製標品が得にくい事が挙げられる。私は、本年度、大量発現と精製のための系を構築することを試みた。そこで種々の発現ベクターと大腸菌の組み合わせを検討した結果、pBAD24にMacBのみを単独でクローニングし、W3104において発現させた時、最大の蛋白量が得られることを明らかとした。なお、この条件下で得た蛋白質を2%TritonX-100により可溶化し、His-tagによって精製する事により、CBB染色で単一のバンドを確認した。このことから、大量発現、大量精製の系を確立する事に成功した。このことから、結晶化のための一つの大きな壁を突破する事が出来たと考えている。また、大量の精製標品は、結晶化のみならず、再構成系やその他生化学的な実験に用いることが出来るため、MacBの機能解明に向けて大きく前進する事が出来たと考えている。
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