2005 Fiscal Year Annual Research Report
グラム陰性菌初のABC型薬剤排出輸送体MacABの構造機能解析
Project/Area Number |
03J04363
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 伸好 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ABC transporter / macrolide / drug efflux |
Research Abstract |
ATP binding cassette(ABC)輸送体は、生物界に普遍的に存在し様々な物質を輸送する膜蛋白である。我々が発見した薬剤排出タンパクMacBは、グラム陰性菌で初めて同定されたABC型薬剤排出蛋白であり、MFPのMacA、To1Cと共に機能することでMacは菌体外へ直接的にマクロライド系の抗生物質を排出する。 これまでに、私はMacBが4回膜貫通構造をとることを実験的に証明した。ABC輸送体で4回膜貫通構造のものは知られておらず、MacBはその唯一の例である。 本年度は、MacBの輸送機構解明のため、さらに詳細な構造情報を得ることを目的として実験を行った。原子レベルでの構造情報を得る手段として3次元結晶を用いたX線結晶構造解析を行うため、大量発現系を構築した。His-tagを用い、大量の精製標品を得ることに成功したが、結晶は得られなかった。いかにして良質な結晶を得るかは今後の課題である。 また、上記の研究と並行して血小板からのSphingosine 1-phosphate(S1P)の放出機構にABC輸送体の関与を調べた。S1Pは生体内で血管新生や免疫反応に重要な役割を果たす生理活性脂質である。これまで、生理活性脂質は単純拡散により放出されると考えられていた。そのため、S1Pの放出過程もほとんど明らかとなっていなかった。私は、S1Pの分泌が単純拡散や開口分泌によるものではないことを証明し、さらに阻害剤を用いることでS1Pの放出にABC輸送体が関与していることを明らかとした。これらの結果はJournal of lipid research誌に報告した。
|
Research Products
(1 results)