2005 Fiscal Year Annual Research Report
マウス初期胚での左右決定シグナルの伝播におけるGaf-1の役割
Project/Area Number |
03J04399
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 千夏 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マウス初期胚 / 左右軸 / Nodal |
Research Abstract |
gdf-1のノックアウトマウスでは、左右軸形成時に左側板中胚葉でのnodal発現が消失する。本研究では、左右軸形成時のgdf-1の役割に関して、マウス遺伝学、また蛋白分子の挙動や活性のアッセイを通して、gdf-1の働きを検証していた。 gdf-1の発現部位のうち左右軸形成時に重要な働きをする部位を同定するため、ノードの横あるいは側板中胚葉でgdf-1を発現するトランスジェニックマウスを樹立した。その結果、ノード横にてgdf-1の発現を回復させた胚では左側板中胚葉でのnodalの発現は一部回復していた。ノード横,側板中胚葉の両方でgdf-1の発現を回復させた胚では正常胚と同様のnodal発現が観察された。 gdf-1のノックアウトマウスでは左側板中胚葉でのnodalの発現が消失することから、Gdf-1の働きはNodalの活性増強、拡散促進にあると考えることができる。Nodalの活性増強、拡散促進におけるGdf-1の作用機構の解析をツメガエル胚、マウスを用いて行っていた。Gdf-1はNodalの活性を促進する働きを持つことがわかっていたが、Gdf-1はNodalの活性の及ぶ範囲を広げていることが示唆された。 Gdf-1によるNodal活性促進は、NodalとGdf-1がヘテロダイマーを形成することにより起こると考えられる。これを検証するため免疫沈降法にて2者のダイマー形成を検出できるか検討した。免疫沈降に使用できるFlagタグ、HAタグ付きの各分子を作製し、ツメガエル卵母細胞の培養上清を用いた免疫沈降を行った結果、NodalとGdf-1は結合しヘテロダイマーを形成していることが示唆された。 Gdf-1によるNodalの活性促進や,シグナルの及ぶ範囲の拡大は、どのような機構によるのかは不明であったが、nodalとgdf-1のRNAをインジェクションしたツメガエル胚の解析により、nodalはGdf-1とヘテロダイマーを形成することによりタンパク質の安定性等の挙動が変化することが分かり、このことがシグナル範囲の拡大に寄与していることが示唆された。
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