2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04417
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
冨士田 誠之 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | フォトニック結晶 / フォトニックバンド / 光制御 / 発光素子 / レーザ / 微細加工 / GaInAsP / 有機材料 |
Research Abstract |
半導体材料として最もよく用いられるシリコンにおいては微細加工プロセスが確立され,フォトニック結晶においても非常に理論とよく対応した明確な効果が観察されてきている.一方,本研究の課題であるレーザ等,発光素子の実現には化合物半導体を用いる必要がある.しかし,従来化合物半導体において,フォトニック結晶のような微細構造を作製する場合,複雑なマスク転写プロセスが必須であったため,十分な加工精度が得られていなかった.そこで,本年度は高精度なフォトニック結晶レーザの作製に必要な微細加工プロセスの確立を試みた.具体的には新規に高純度ヨウ化水素ガスを用いた誘導結合プラズマエッチングを試みることで,電子線ビーム露光法で描画した微細レジストパターンを直接インジウム燐半導体に転写することに成功した.プロセス条件を最適化することで,直径240nm,88゜以上の垂直性と10nm以下の粗さ,±1%以下のバラつき,といった従来のシリコン系フォトニック結晶に迫る非常に高精度な円孔三角格子フォトニック結晶構造の作製に成功した.実際,上記のプロセスを用いて薄膜スラブ構造にガリウムインジウムヒ素燐量子井戸発光層導入したフォトニック結晶を作製し,明確なフォトニックバンドギャップの効果の観測に成功した.一方で新機能の探求の第一歩として,フレキシブルな構造への展開の可能性がある有機材料を用いたフォトニック結晶発光素子の作製も昨年度より試みている.将来のレーザデバイスへの展開においても重要となると考えられる有機発光素子の電気特性において,当初,フォトニック結晶構造の効果としては予想していなかった駆動電圧の低減といった興味深い現象が観察された.この現象がフォトニック結晶構造の形成による有機層膜厚の変調が原因であることを突き止め,実験結果を静電界シミュレーションとトンネル電流モデルで説明することに成功した.
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