2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04417
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
冨士田 誠之 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | フォトニック結晶 / レーザ / 発光素子 / 発光制御 / フォトニックバンド / 化合物半導体 / 有機材料 / 微細加工 |
Research Abstract |
従来にはない光の制御を可能にするナノ構造光機能材料として注目を集めているフォトニック結晶を用いたレーザの高性能化および新機能の探求を本研究の目的としている.フォトニック結晶の高性能化にはまず,高精度な微細加工の確立が必要と考えた.昨年度までに,一般的にレーザに用いられる化合物半導体に対し,高純度ヨウ化水素ガスを用いた誘導結合プラズマ法を適応することで,既に加工技術が確立されているシリコンフォトニック結晶に迫る高精度なフォトニック結晶の作製に成功した.今年度はこの技術をフォトニック結晶レーザの基本形となる薄膜スラブにガリウムインジウムヒ素燐半導体量子井戸発光層を導入した構造に適用することを試みた.作製したフォトニック結晶を,チタンサファイアパルスレーザで励起し,光電子増倍管を含む光学システムにて発光の時間応答特性を測定した.量子井戸からの発光の減衰寿命がフォトニック結晶のない場合と比較して約5倍に増大した.これは,フォトニック結晶の効果によってレーザ発振現象の源となる自然放出が原理的に制御された結果を示しており,高精度な化合物半導体加工結果を反映している.(この成果はフォトニック結晶による発光制御の基本原理が実証された成果として米国の著名な科学誌サイエンスに掲載され,多くのメディアでも報道された)本研究では一方でフォトニック結晶レーザの新機能探求の目的で新たな発光材料を用いたフォトニック結晶発光素子の作製も試みている.今年度は昨年度に引き続きフレキシブルな大面積素子への展開の可能性がある有機材料を用いた.ナノインプリント法という大面積を一括形成可能な微細加工技術を適応することで約1億個の微細孔からなるフォトニック結晶を作製した.2ミリ角という大きな発光面積フォトニック結晶有機発光素子の動作を確認し,将来の大面積有機フォトニック結晶レーザの作製技術の基礎を築いた.
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