2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04422
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡本 敏宏 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 縮環オリゴチオフェン / パイ電子系化合物 / 16族元素 / アセチレン / 分子内二重環化反応 / 脱カルコゲン反応 / サイクリックボルタンメトリー / 電荷輸送 |
Research Abstract |
高平面性パイ共役骨格に16族元素を導入したヘテロアセン類は新たな電荷輸送性有機材料として期待される.我々はすでに,ビス(o-ブロモアリール)ジアセチレンを出発原料に用いた分子内三重環化反応とつづく脱カルコゲン反応による一連の縮環オリゴチオフェンの合成を報告している.今回,この方法論を修飾することにより,パイ共役骨格がより高度に拡張された縮環オリゴチオフェンの合成について検討した. ビス(ブロモチエニル)アセチレンをt-BuLiを用いてジリチオ化し,続いて硫黄と反応させることにより,ジチイン環とチオフェン環の二つの環形成が同時におこったジカルコゲニド結合をもつ化合物が得られることを見いだした.得られた化合物からの脱カルコゲン反応を銅を用いて行うことにより,環が4つ縮環した縮環オリゴチオフェンへと誘導することができた.同様に、,6-ブロモチエノチオフェン誘導体を出発原料に用いると環が六つ縮環した化合物を合成することができた.さらに,この合成法を,アセチレン部位を二つ有する出発原料に適用することにより,8個のチオフェン環が縮環した化合物を合成することにも成功した.この化合物について,X線結晶構造解析を行ったところ,予想通りほぼ平面構造をとることがわかった.得られたこれら一連の縮環オリゴチオフェン化合物の電気化学特性を明らかにするために,サイクリックボルタンメトリーを測定した.これらの化合物は環の数が増えるに従い、酸化されやすくなることがわかった.すべての化合物について第一酸化過程は可逆に観測され,安定なラジカルカチオンを生成することが示唆された.また,8個縮環した化合物は同条件下で,可逆な第二酸化波を示した.さらに,得られた化合物の光物性を明らかにするために,紫外可視吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを測定した.環の数が4個から8個に増えると吸収極大と蛍光極大は,それぞれ約80nm長波長シフトし,量子収率の向上も観測された.今後,これらの化合物の電荷輸送特性などの物性評価を行っていく予定である.
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Research Products
(1 results)