2003 Fiscal Year Annual Research Report
イスラーム復興のネットワーキング:トルコを事例とする実証的研究
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03J04531
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤江 史子 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | イスラーム復興 / ネットワーク / トルコ政治 |
Research Abstract |
本研究は、1990年代にトルコで台頭した政治的なイスラーム復興運動について、それが政治という領域に限定して捉えられるよりも、(1)個人やグループを介するネットワークを形成し、政治領域を超えて連動的、相乗的に活発化し、(2)社会活動や経済活動とも結びつくことによって日常生活の一部として機能しているとの仮説を実証的に検証することを目指す。第一年目の本年は、まず、1990年代のイスラーム復興勢力を規定した内政および国際関係上の背景的条件を分析した(研究発表欄を参照のこと)。その結果、復興勢力が、冷戦後の地政学的変化、国際的・国内的な政治社会の自由化・民主化圧力、経済や情報のグローバル化などの当時の時代状況に対して、その時代的条件を的確に捉え、それを参照枠組みとして活動や言説構築を行おうとする柔軟性と戦略性を兼ね備えた勢力として台頭したことが明らかになった。第二に、この時期にイスラーム政党の中堅的活動家として政党の動員活動を支え、他方で、個人的なネットワークの構築および発展に努めてきた40代の男性三人のライフヒストリーと、人脈の実体および政治生活および日常生活におけるその機能について、聞き取り調査を行った。特に、第一点の研究結果を基礎として、彼らが1980年代後半以降の新しい時代的条件をいかに捉え、それとの関係で復興運動にいかなる動機付けで関わり、人脈形成や活動を志向してきたのかについてインタビューを行った。また。2004年3月28日実施の統一地方選挙に際して、この三人がイスラーム政党の活動家として、あるいは個人的な動機により接触した人物や組織の情報とその目的についても聞き取り調査を行った本年の調査は、パイロットプランに位置づけられ、二年目以降、この調査結果を分析した上で、引き続きこの三人に対する再インタビューや、スノーボーリング式サンプリングによって得られた新しい対象者に対する調査を行う予定である。
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Research Products
(1 results)