2003 Fiscal Year Annual Research Report
東アフリカ・大湖地方におけるバナナの流通ネットワーク形成と地域の内発的発展
Project/Area Number |
03J04532
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丸尾 聡 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アフリカ / 農村社会 / 商品経済 / 文化規範 / 流通ネットワーク / 内発的発展 / バナナ |
Research Abstract |
本年度はこれまでの現地調査で収集した一次資料および、アフリカ農耕民社会の変容に関連した文献資料を中心に、論文執筆のための情報の整理やレビューをおこない、並行してワークショップや研究会に参加し、発表をおこなった。 タンザニアの調査地域において主食用バナナは、近郊都市の需要増加を背景に近年では商品的価値が認められる一方で、今日でもその社会文化的な重要性は高い。この点に関して、報告者は2003年10月にバンコクで開催された国際ワークショップ「多目的植物の文化的意味と経済的重要性」で発表し、報告書にまとめた(出版準備中)。 調査地域における主食用バナナの商品化の進行に着目すると、その取引システムにはいくつかの特質が見いだされた。第一に、近年のコーヒー価格の下落をはじめとするさまざまな要因によって、今日より多くの生産農民がバナナ取引に参画することが可能になっている点、第二に、同一の民族集団内で形成された取引システムであり、取引には人びとのバナナに対する文化的規範が内在化している点、そして第三に、在来の地域資源を活用したこの取引システムに地域の内発性のポテンシャルを見いだすことができる点である。2004年3月に、アフリカ・モラルエコノミー研究会においてこのテーマで発表し、現在公表準備中である。 また、社会の内発的発展に向けて一つの方策となりうるフェア・トレードに関連して、2003年11月には東京で開催されたフェア・トレード・ビジネスセミナーに参加し、すでに実践している企業家や研究者と意見交換をおこなった。
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