2003 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀前半東北アジア華人ネットワークの生成と衰退:国際都市と在外華商の機能
Project/Area Number |
03J04542
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 貴子 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 華人ネットワーク / 中国:ロシア:日本 / オーラルヒストリー / 都市史 |
Research Abstract |
本年度は主として、ロシア・ウラジオストクのロシア国立極東歴史文書館(8月)、国会図書館(12月1月)、北海道大学(11月3月)での史料調査を行うとともに、研究会等での成果の報告を行った。 ロシア国立極東歴史文書館にはロシア語による中国人居留民・日本人居留民・韓国人居留民の史料が多数保存されているが、十分には活用されていないのが現状である。次年度以降これらの史料の積極的利用を試みたい。また、ウラジオストクでは、現在、中国人の流入が増加しており、小売商・労働者というロシアで仕事を行うもの、留学生・観光客というロシアで消費活動を行うもの、双方ともがロシア人の中国人に対する警戒心をかきたてている現状であった。この点で20世紀初頭極東ロシアで黄禍論によるアジア人迫害が行われていたこととの類似性が感じられ、中国周辺部へ出て行く中国人を対象とした研究の必要性、特に研究蓄積が少なくかつ問題化している東北アジアにおいての必要性を痛感した。 国会図書館では、ハルビンから引き揚げた日本人の回顧録を収集し、日本人の目から見たハルビン像を明かにしようとした。この作業の成果は北大等での研究報告に生かした。 北海道大学では、図書館にて史料調査を行うとともに、スラブ研究センターのCOEプログラムによる「ロシアの中のアジア/アジアの中のロシア」研究会にて「Харбинから哈爾濱へ-中国における国際都市の試み-」(2002年11月11日)、「ハルビン1945年8月-1946年9月」(2004年3月27日)の二つの研究報告を行った。これらの報告の中では、現在中国東北地域の一都市となっているハルビンが1898年ロシアによって建設されてのち、中国、日本へと支配権が移っていくなかでも、国際都市といわれ、維持されていた国際性について議論した。また日本の敗戦によって、現在至る中国人の都市へと変化しはじめる最初の時期を考察し、ハルビンの国際性が淘汰されていくプロセスについても議論した。
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Research Products
(1 results)