2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04570
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中串 孝志 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 火星 / 大気現象 / 季節変動 / エアロゾル / 地上観測 / 共同観測 |
Research Abstract |
本年度の研究では、2つの共同観測プロジェクトによる、2003年の観測期の前半(最接近を含む)の3515個のデータの観測のまとめを行なった。観測は187夜にわたっており、L_s=83°-252°に相当している。得られたデータは、近年の観測機器の発達と流布により、信じられないような高品質なものが多い。この論文が扱う期間中には、局地的なダストストームが2つ観測された。その最初のものとの関係が強く疑われる現象が、ダストストーム発生前にHellas盆地で観測された。この一連の状況は2001年に観測された全球規模の大ダストストームの時と良く似ている。地表面については、衝効果の為と思われるブルークリアリング現象が見られた。南極冠は中央に暗部を伴いながら縮小していった。その外観変化のプロセスを明らかにすることができた。今期は観測史上で最も地球に接近する観測期であったため、観測可能な期間が長い。おかげでこの前半期ではさまざまな氷晶雲の活動もモニターすることができた。南極雲が晴れたのはL_s〜185°(5月中旬)だと思われる。北極雲は5月初旬(L_s〜180)までには形成されていたようだ。低緯度氷晶雲帯も5月中旬まで確認された。衰退期に入った低緯度氷晶雲帯には、〜170°-200°Wに雲の少ない経度帯があることがわかった。その他いくつかの特定の地域で、繰り返し発生する氷晶雲が観測されている。これらの報告は、探査機や理論による研究に大いに貢献するだろう。
|