2003 Fiscal Year Annual Research Report
位相幾何学的手法による力学系の代数的表現およびその応用
Project/Area Number |
03J04572
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荒井 迅 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手
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Keywords | ホモクリニック接触 / Conley指数 / Henon写像 |
Research Abstract |
本研究は力学系の構造を位相幾何学的手法により代数化する方法と,それを用いた分岐現象の解析を目的として行なわれたが,とくにホモクリニック接触という重要な分岐について,それを解析する手法を確立することに成功した.また,この手法を応用して,Henon写像族におけるホモクリニック接触の発生を具体的なパラメータ値において示すことができた. 本研究により確立された理論では,与えられて力学系での接触現象を,その力学系から導かれた射影バンドル上でのconnecting orbitの存在に結び付ける議論と,connecting orbitの存在を証明するために用いるConley指数という位相幾何学的な不変量を用いた議論が本質的である.一方,具体例においてConley指数を計算するために,区間演算による精度保証付き数値計算や,計算ホモロジー理論などもこの手法に導入された. また,この手法によって存在が証明された接触について,それが非退化であることも証明することができた.非退化なホモクリニック接触がNewhouse現象やストレンジアトラクターの存在を帰結することが既に知られていることから,この手法によってHenon写像族におけるそれらの現象の発生を結論することができた. さらなる応用として,偏微分方程式や生物学由来のKot-SchafferモデルなどにおけるNewhouse現象やストレンジアトラクターの存在も同様の議論で証明できると期待され,現在その研究が進行中である.
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