2005 Fiscal Year Annual Research Report
ポリエチレンオキシドー水系ソフトマターの静的・動的構造と相転移機構の解明
Project/Area Number |
03J04643
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
千葉 文野 慶應義塾大学, 理工学部, 助手
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Keywords | PEO / ミクロ相分離 / 水素結合 |
Research Abstract |
近年の実験技術や理論・シミュレーション技術の発展に伴い、ソフトマターや複雑液体と言われる単純でない系が、普遍的な視点から物性物理学として研究可能となってきた。こうした系の基礎的研究は、ナノテクノロジーやバイオなどの最先端技術に直接に応用できる可能性があり、現在特に必要とされている。本研究では、電池、あるいは生体親和性、といった応用面から注目を集めているポリエチレンオキシド(PEO)を含む系を扱った。 まず、ポリエチレンオキシド(PEO)-b-ポリ(2-ビニルピリジン)(P2VP)ブロック共重合体の溶融物のナノスケールにおける構造を小角・超小角X線散乱、透過型電子顕微鏡等を用いて調べた結果、低温で相溶し高温でミクロ相分離を示し、いわゆるLCST型の振る舞いをすることがわかった。これは、PEOの酸素原子の不対電子対が関係する水素結合が低温でPEO-P2VP間に働いているが高温で解消されるために相分離すると考えられる。そこでラマン・IR測定を行い、水素結合を直接測定することを試み、水素結合程度のミクロな構造がナノスケールの相分離構造に与える影響を調べた。また、パラジウム微粒子を担持させることも試みた。結果は高分子学会、Pacifichem2005等で発表を行い、論文を執筆中である。 また、より複雑なソフトマターとして近年ナノスケールの入れ子構造など新規構造を発見している台湾の精華大学のHsin-Lung Chen教授らとの共同研究で、ω-Methoxy Poly(ethyleneoxide) Phosphateの構造を2次元小角X線散乱・超小角X線散乱測定によって研究し、入れ子構造の配向性を初めて明らかにし、論文を投稿した。
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