2004 Fiscal Year Annual Research Report
多層量子ホール系における位相的ソリトンと群論的手法を用いた量子コヒーレンスの解析
Project/Area Number |
03J04685
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷部 一気 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 量子ホール効果 / 非可換幾何学 / 分数統計 / 超対称性 / 量子光学 / 行列模型 |
Research Abstract |
今年度、私が実施した研究は、主に次の二つである。 一つ目は、高次元の量子ホール効果の研究であり、これはPhysics Letter Bに出版されている論文にまとめられている。二次元でのみ定式化されてきた量子ホール系の舞台を、高次元に拡張したら、どのような物理現象が現れるかという研究である。この研究は、高次元における分数電荷や分数統計と密接に関連しており、量子力学の基本的な問題と関係するものである。また、量子ホール系は磁場がかかっているために、非可換幾何学が生かされる舞台でもあり、高次元の非可換空間といった数学的な発展を促すものである。非可換幾何学は、弦理論または行列模型の数学的基礎とも関連しており、量子ホール系とそれら素粒子の理論とも関連についても解析した。 二つ目は、量子ホール効果の超対称な拡張である。高次元の量子ホール系の理論が行列模型と関係しているように、超対称化された量子ホール系の理論は超対称行列模型と関連しているはずであり、その発展に寄与すると期待される。まず、Nuclear Physics Bに出版された論文において、超対称量子ホール系の舞台設定である、超対称非可換球と、その非可換効果を生み出す源である、超対称モノポールを構成した。その次に、超対称モノポールが生み出す磁場の中に置かれた球面上で量子ホール系を構成した。この内容は、現在、Physical Review Letterで査読中である。更に、その平面の極限をとり、超対称な磁場がかかる平面状において、量子ホール系を構成し、その性質を調べた。その結果、平面上の超対称量子ホール系は、量子光学で使われるJaynes-Cummings模型と呼ばれるものに非常に似ていることが分かり、現実の世界とも、接点があることが分かった。この内容は、Physical Review Dに投稿中である。
|
Research Products
(2 results)