2003 Fiscal Year Annual Research Report
代数的手法による弦理論の非摂動的定式化とDブレインの双対性
Project/Area Number |
03J04688
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梶浦 宏成 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 弦理論 / 弦の場の理論 / ホモトピー代数 |
Research Abstract |
弦の場の理論は今のところ,弦理論の非摂動効果を記述し,はっきりとした弦の摂動論的な意味づけを持つ唯一の理論である.弦の場の理論は,その構成法より,古典的開弦,古典的閉弦の場合にホモトピー代数構造を持つことが知られている.ある共形不変な背景時空の周りで定義できる弦の場の理論の作用は実は無限個ある.しかし,古典的な開弦,閉弦の場の理論においては,そのホモトピー代数構造に注目することにより,同じ共形背景時空上のすべての弦の場の理論の作用は同型であることが分かる.これは,固定した共形背景時空上のすべての古典的な開弦の場の理論は場の再定義で移り合い,つまり物理的に等価であることを意味している.今年度はさらに,古典的な開弦と閉弦の混在した系(古典的開-閉弦の場の理論)について研究し,その系の持つ一般的な代数構造として,新しいホモトピー代数を定義した.つまり,古典的開-閉弦の場の理論が一般にホモトピー代数と言うことのできる性質を持ち,そのことから,固定した共形背景時空上のすべての古典的な開-閉弦の場の理論は等価であることが分かった(準備中). このようなホモトピー代数構造は,非摂動効果を含む弦理論の作用の持つ摂動論的な構造を制御するものであり,非摂動的な弦理論の作用の探求にとっての第一ステップであると考えている. 一方,この弦(の場)の理論の持つホモトピー代数構造の一般論を非可換2次元トーラス上の位相的開弦の場の理論に応用し,それについて得られた結果(準備中)を,日本物理学会第58回年次大会で発表した.
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