2004 Fiscal Year Annual Research Report
代数的手法による弦理論の非摂動的定式化と、Dブレインの双対性
Project/Area Number |
03J04688
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梶浦 宏成 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 弦理論 / 場の理論 / 弦の場の理論 / Dブレイン / 双対性 / 位相的弦理論 / ホモトピー代数 / 非可換トーラス |
Research Abstract |
弦理論において基本的なものは閉弦の状態と開弦の状態であり、一般に閉弦の状態空間は重力場、開弦の状態空間はゲージ場を含むものである。よって、弦理論は重力場の理論とゲージ理論を統一的に記述しうる理論であることが期待され、開弦と閉弦の混在する系は重力場の理論とゲージ場の理論の間の何らかの対応を与えることが期待される。 今年度は開弦と閉弦の混在する系の持つ一般的な代数を定式化し、それがホモトピー代数と呼ばれるものの構造を持つことを示した。これらの結果はプレプリントとして公表し、投稿中である。この研究の過程で今年度4月15日から6月26日までは渡米し、ペンシルバニア大学にて研究を行った。その滞在中、アメリカ数学会とLeigh大学における研究会「Geometry and Topology」において研究発表し、また、帰国後は日本物理学会2004年秋季大会と名古屋工業大学におけるホモトピー論研究集会にて発表した。 一般に、閉弦の場は弦の存在する(標的)空間の(計量などの)背景場であり、閉弦の場の凝縮は空間の変形を意味するが、その幾何学の変形を反映するのは閉弦の理論の代数構造ではなく開弦の理論の代数構造であることが多い。今年度は、さらにこのような弦理論の幾何学への応用として、トーラスの非可換変形である非可換トーラス上の開弦の理論を構成し、その代数構造を具体的に解析し、プレプリントとして公表した(投稿中)。これについては京都大学での国際研究会「Mathematical Aspects of String Theory」と湘南国際村における国際研究会「Noncommutative Geometry, K-theory and Physics」において発表した。
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