2003 Fiscal Year Annual Research Report
超高分解能X線中性子線結晶構造解析を用いた酵素反応に関わる水素原子の機能解明
Project/Area Number |
03J04715
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 哲哉 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | エンドポリガラクツロナーゼ / グリコシダーゼ / 中性子線結晶構造解析 / 超高分解能X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
ペクチン質分解酵素、エンドポリガラクツロナーゼの反応は、それぞれ、基質にプロトンを与える一般酸、および水分子からプロトンを引き抜く一般塩基として働く二つのカルボン酸によって触媒されると考えられている。したがって、水素(プロトン)含めた酵素の構造情報は、この触媒機構の仕組みの理解を可能にする。そこで、超高分解能X線結晶構造解析と中性子線結晶構造解析の2つの方法で、エンドポリガラクツロナーゼの水素を含めた構造決定を試みた。 1、超高分解能X線結晶構造解析 これまでの研究で、エンドポリガラクツロナーゼの一般酸触媒はAsp173と決定されている。それに対して、一般塩基触媒はAsp153とAsp174の二つの候補が存在している。そこで、共同研究者によって酵素速度論的に求められた一般塩基塩基触媒のpKa(4.4)の前後のpHにおける両Asp残基の解離状態の違いを超高分解能X線結晶構造解析で明らかにすることにより、一般塩基触媒の決定を試みた。現在までに、大型放射光施設、SPring-8にて、pH2.87から4.88の8つの条件で、水素を含む構造解析が可能な1.0から1.08Åの分解能の回折強度データを収集し、解析中である。 2、中性子線結晶構造解析 中性子線結晶構造解析は原子核により散乱されることから、原理的にX線よりも、水素やプロトンの位置決定に有利と考えられているが、非常に巨大な結晶を要する。そこで、マクロシーディングによる結晶化を行った結果、解析に十分な大きさ(4.5mm^3)の結晶を得ることに成功した。さらに、得られた結晶を重水素置換した後、日本原子力研究所の中性子線回折計BIX-4で回折データの測定を行い、1.5Å分解能のデータを得ることに成功した。現在、X線で得られたエンドポリガラクツロナーゼの構造を初期モデルにして構造解析を進め、一部の交換性(重)水素原子を位置の決定に成功している。
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Research Products
(1 results)