2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04731
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 敦子 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アミン脱水素酵素 / キノプロテイン / X線結晶構造解析 / 構造と機能 / フラボプロテイン / 基質認識 |
Research Abstract |
アミン酸化還元反応は、細菌に限らず動物・植物などの生体内において幅広く見受けられる反応である。これらの反応を触媒する酸化還元酵素は、キノプロテインとフラボプロテインに分類することができる。前者に関して、これまでに我々は、Pseudomonas putida由来キノヘモプロテインアミン脱水素酵素(QH-AmDH)に、CTQという新しいキノを型補酵素と、今までに報告の無い分子内架橋が存在することを明らかにしてきた。近年、本酵素に不活性型(sQH-AmDH)が存在することが解った。このsQH-AmDHのX線結晶構造解析を行ったところ、CTQとは異なる電子密度が観測された。sQH-AmDHの活性中心を含むサブユニットを単離・精製し、MALDI-TOFによる質量分析を行った。現在、これらの結果をもとに、sQH-AmDHの活性中心構造の決定を試みている。 一方、放線菌Nocardioides simplexより精製されたヒスタミン脱水素酵素(HmDH)は、分子量約156000の二量体酵素で、ヒスタミンに対し非常に高い特異性を示す。当研究室における遺伝子解析の結果、HmDHはトリメチルアミン脱水素酵素(TMADH)と比較的高い相同性(約40%)を示すことが解った。TMADHは、HmDHと同じ補欠分子を有する鉄-硫黄フラボプロテインである。我々は、構造および機能という観点から、これらアミン脱水素酵素の類似点および相違点を明らかにし、両アミン脱水素酵素の立体構造に基づく機能発現の仕組みについて追究する。その手始めとして、HmDHのX線結晶構造解析を試みた。HmDHの構造は、TMADHを初期モデルとした分子置換法により2.5Å分解能で決定した。HmDHとTMADHはそれぞれヒスタミン、トリメチルアミンといった分子構造、大きさ、塩基的性質など全く異なる化合物を基質とするにもかかわらず、構造解析の結果得られたHmDHの活性部位の構造は、TMADHのそれとよく似ていた。しかしながら、TMADHで基質認識に関わっているとされるTyr60、Trp264、Trp355に相当する残基は、HmDHでは特定できなかった。そこで、数種の基質アナログを用い、共結晶化を試みたところ、L-ヒスチジン複合体結晶の作成に成功し、3.0Å分解能で構造決定した。得られた結晶構造から、HmDHの基質認識には、Phe、Tyr、Trpといった芳香族アミノ酸が基質認識に関わっていることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)