2005 Fiscal Year Annual Research Report
特異な電子状態を持つケイ素-ホウ素結合化合物の創製と物性
Project/Area Number |
03J04738
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石田 真太郎 京都大学, 化学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 有機ケイ素 / 光物性 / ラジカル / カチオン / 機能性分子 / 結晶構造解析 / 理論計算 |
Research Abstract |
本年度の研究実績の概要を以下に示す。 1)種々の1,3-ジアザ-2-シラ-4シクロペンテン(DASCP)ラジカルカチオン塩の単離と構造 昨年度はDASCPの電子状態におけるケイ素の効果について検討した。本年度はその研究を発展させ、DASCPの窒素上に種々のアリール基を導入し、π共役系を拡張したDASCPの性質について検討した。 電気化学的測定の結果、これらの化合物はいずれも0V付近という低い電位で酸化され、アリール基上の置換基による電子的効果が小さいことがわかった。銀塩を用いて一電子酸化反応を検討した結果、窒素上の置換基に3,5-di(tert-butyl)phenyl基を持つDASCPラジカルカチオン塩は暗青色結晶として単離することができた。中性状態およびラジカルカチオン状態のDASCPの結晶構造解析から、アリール基がDASCP環に対して大きくねじれていること、5員環窒素の非平面性などが低い置換基効果の理由であると推測された。 2)剛直なσ炭素骨格の縮環した14族メタロールの合成と性質 14族メタロール、特にシロールは固体状態で高い電子受容性と発光性をもつ特異な分子である。今回剛直で嵩高いσ骨格であるビシクロ[2.2.2]オクテン(BCO)骨格が縮環したシロール、ゲルモール、およびスタンノールを合成し、その性質について検討した。 これらの化合物を対応する1,4-ジリチオブタジエンから合成し、無色結晶として単離することができた。理論計算および各種スペクトル測定の結果から、この系では剛直なBCO骨格とメタロール環のσ-π共役によってHOMOが上昇していることがわかった。さらにこのシロールのケイ光は溶液中では弱いが、固体状態ではケイ光量子収率は71-72%と顕著に大きくなることがわかった。アルキル基のみが置換したシロールでこのような特異な性質が観測されたのはこれが初めての例である。
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Research Products
(1 results)