2003 Fiscal Year Annual Research Report
試験管内ES細胞分化システムを用いたHOX関連白血病遺伝子の生物学機能の解析
Project/Area Number |
03J04770
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
幸谷 愛 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | AID / リンパ腫 / 体細胞突然変異 |
Research Abstract |
白血病、悪性リンパ腫には病型特異的な染色体異常、特に染色体転座が存在する。今までの分子生物学的解析により、白血病では転座によって新たに融合型白血病関連遺伝子が形成され、融合遺伝子を形成するそれぞれの遺伝子は細胞の分化、増殖、細胞死といった基本的機能と深く関わっていることが明らかとなった。また、悪性リンパ腫では、転座によって高発現プロモーターの下流に転座パートナー遺伝子が結合することによってパートナー遺伝子の発現が亢進し、その事が病態形成に深く関わることが報告されている。本研究では、ES細胞の試験管内分化システムと誘導遺伝子発現システムを用いて、MLL関連白血病遺伝子についてモデルシステムを樹立し、ES細胞からの発生分化過程で、細胞生物学的機能解析を行うことと、悪性リンパ腫における、転座のきっかけになり得る突然変異の役割を解析することを目的とした。白血病遺伝子に関しては、MLLAF9 cDNAをテトラサイクリン反応性プロモーターの下流につないだコンストラクトを作成し、既に樹立されている親株ES細胞に導入し、stable cloneを樹立した。また、悪性リンパ腫における突然変異に関しては、T細胞リンパ腫を発症するAIDトランスジェニックマウスを用い、突然変異をもつ遺伝子のスクリーニングを行った結果、ある種の遺伝子に突然変異が見つかった。また、AIDはB細胞においてクラススイッチと体細胞変異に不可欠であるが、過剰発現させた場合、体細胞変異のみでリンパ腫を発症するか否かを検討するため、体細胞変異のみを起こすAID変異体に対するトランスジェニックマウスを作成した。今後解析予定である。
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