2003 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞の運命決定を担うニッチの分子基盤の解明および幹細胞移植への応用
Project/Area Number |
03J04777
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 栄美 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | メラノサイト / 幹細胞 / 再生 / 毛包 / ニッチ / Bcl2 / Mitf / 白髪 |
Research Abstract |
これまでに、皮膚毛包内の色素細胞(メラノサイト)の幹細胞を同定し、幹細胞周囲のの微小環境:ニッチが幹細胞の運命決定において優勢に働くことをこれまでに示してきた(Nishimura,2002)。ニッチを介する幹細胞維持機構を解明するため、ひきつづきDct-lacZトランスジェニックマウスのシステム(色素幹細胞検出マウス)を用いて、まず幹細胞維持に必須の幹細胞側のintrinsic factorを同定するための実験を行った。マウスにおいてメラノサイトの幹細胞の維持が出来ない場合に、進行性に白毛が増加する形質を示す可能性を想定し、早発性白髪のモデルマウスであるbcl2の欠損マウス、および、メラノサイトのマスター制御因子であるbHLH zip typeの転写因子をコードするMitfの変異マウスであるvitiligoミュータントマウスを色素幹細胞検出マウス(Dct-lacZ/+)と交配し、色素幹細胞、および増殖分化したメラノサイトの各々の細胞集団について検討した。bcl2の欠損マウスにおいては、毛母に存在する分化したメラノサイトを残して、ニッチに存在するメラノサイト幹細胞が、ほぼ同調し選択的にアポトーシスにて消失すること、幹細胞が休眠状態に入る直前に消失することが判明した。vitiligoマウスにおいては幹細胞およびその子孫細胞が毛周期ごとに少しずつ双方が異常を示すこと、Bcl-2とMitfが幹細胞の自己維持においては必須であることが判明した。
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