2004 Fiscal Year Annual Research Report
海洋性超好熱古細菌ゲノムの網羅的機能解析に向けた遺伝子操作系の開発
Project/Area Number |
03J04791
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 礼士 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Aeropyrum pernix / 遺伝子操作 / 遺伝子破壊 / 機能解析 / ゲノム / 古細菌 |
Research Abstract |
宿主ライブラリーの拡充 本年度も、前年に引き続き、より汎用性の高いベクター系の構築を目指し、新規のAeropyrum株の分離をおこなった。日本各地の海浜温泉サンプル、または陸上温泉サンプルから本菌の分離を試みた結果、鹿児島県山川町の砂浜から新規のAeropyrum株を分離することに成功した。これまでに分離したAeropyrum山川株は70株程度におよんだが、これらの株の詳細な性状、および遺伝的多様度を調べたところ、酸素耐性および乾燥耐性がタイプストレインであるA.pernixに比べ非常に高く、コロニー形成能を有することがわかった。遺伝子改変系においては、改変株を得た際のスクリーニングに平板培養を用いることから、今後の遺伝子改変系の構築にふさわしい株を得ることができた。また、タイプストレインとのDNA-DNA交雑試験を行った結果、70から78%の値を得たことから、山川株はA.pernixと同種であるものの、遺伝的に多様な変異を獲得している可能性が示唆された。来年度はこれらの株の中から、制限酵素産生に関する変異株をスクリーニングし、DM取り込み能を強化した株を得る予定である。 宿主の遺伝的多様を数値化するためのマーカーの探索 宿主ライブラリーの拡充には遺伝的多様の高い株を得ることが必須であることから、分離した株の多様性を瞬時に測るととができる分子マーカーの選択を行った。その結果、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子およびグリセロアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の1次構造が比較的高い多様度を持っており、分離源の違いを反映していることがわかった。また、それぞれの遺伝子ライブラリーを用いて得られた系統樹はトポロジーがほぼ相似しており、多様度を推定する上で信頼性の高い情報を提供できるツールとなり得ることが立証できた。来年度は大規模なゲノム情報と、これら個々の遺伝子の1次構造を組み合わせた包括的なAeropyrum属遺伝的多様解析を進める計画である。
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