2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患における巨胞形成と神経細胞死の分子機構の解明について
Project/Area Number |
03J04806
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安田 邦彦 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 神経変性疾愚 / 小胞体ストレス / VCP / p97 / アセチル化 |
Research Abstract |
VCP/p97は様々な神経変性疾患に共通して観察される異常タンパク質の蓄積が原因とされる空胞形成、さらには細胞死に深く関与していることが明らかになっている。既に前年度の報告書でVCP/p97はリン酸化だけではなくアセチル化修飾によっても機能制御されている可能性があることを報告した。脱アセチル化酵素の阻害剤で細胞を処理すると、小胞体ストレスを誘発し、さらにVCP/p97は核に強局在した。通常VCP/p97は殆どが細胞質に存在しているが、アセチル化が亢進することにより核内にとどまり、細胞質におけるクオリティーコントロールが不十分になることで小胞体ストレスを誘発したものと考えられる。また非アセチルミミック体はVCP/p97のATPase活性を消失させることからもVCP/p97のアセチル化修飾がVCP/p97の機能制御に重要であることが示唆された。そこでVCP/p97をアセチル化する酵素を同定することでアセチル化修飾によるVCP/p97の機能制御機構を明らかできると考え、培養細胞からアセチル化酵素の精製を試みた。精製には核画分を用いることにした。その理由としては、1)VCP/p97のアセチル化ミミック体が核内に存在する、2)脱アセチル化酵素阻害剤処理時に核に強局在したこと、3)各オルガネラを分画し、それぞれの活性について調べたところ、核抽出画分にアセチル化活性が高かったことがあげられる。基本的に生化学的な手法を用いて幾つかの分離カラムを組み合わせて精製を行い、最終的にその候補と思われる酵素を捉えることができた。今後はその酵素が実際にVCP/p97のアセチル化をin vivoで担う酵素であるのか、またその制御機構について詳細に引き続き検討を行う予定である。また核内におけるアセチル化VCP/p97の機能の解明についてもあわせて検討を行う予定である。
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