2003 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧とその合併症における血管運動中枢の分子機構の解明
Project/Area Number |
03J04808
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水谷 健一 京都大学, 再生医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中枢神経系 / 発生生物学 / 再生医学 |
Research Abstract |
近年の急速な高齢化により、従来の対症療法では十分治療ができない疾患が急速に増加している。こうした背景から、組織の変性や欠失を細胞の移植や薬剤による新生の誘導により治療しようとする再生医療に大きな期待が集まっている。高血圧が最大のリスクファクターとなって発症する心筋梗塞や脳血管障害などの治療に再生医療を応用するには、汎用性、有効性、安全性などの面から問題点が多く、胎生期および成体の神経幹細胞に関する基礎的知見の積み重ねが不可欠であると考えられる。 胎生期や成体の多様な神経幹細胞、および個々のニューロンの詳細な解析を実現するには、空間的に極めて限られた場所で遺伝子発現を制御することが必要とされるが、従来のトランスジェニックなどを用いた手法ではその制限に利用可能なシスエレメントに限りがあることなどから大変困難であった。この問題を解決することを目的として、本年度は胎生期マウス中枢神経系への遺伝子導入法in vivoエレクトロポレーション法の確立を行った。すなわち1、様々な発現ベクターを側脳室にインジェクション後、至適条件のsquare pulseをかけることにより脳室近傍の分裂中の細胞、progenitor cellsに効率良く遺伝子を導入する系を確立した。2、リポーター遺伝子が導入されたprogenitor cells、およびそれらから分化した神経細胞は、その形態を明瞭に解析可能で、少なくとも生後3か月間発現を維持することが確認された。3、Cre-loxP系を用いたコンディショナルターゲティング法を併用することで、時期特異的な遺伝子制御による機能解析が可能となった。4、細胞特異的な遺伝子のプロモーター配列を活用することで、ある特定の神経幹細胞や神経細胞の集団を可視化することが可能であることが示された。これらの実験系は血管運動中枢に存在する多様な神経細胞集団の解析に応用が可能であり、今後さらなる検討が必要である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masataka Furuya: "Electroporation of Cynomolgus monkey Embryonic Stem Cells."Genesis. 37. 180-187 (2003)
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[Publications] Satoru Miyagi: "The Sox-2 Reguratory Regions Display Their Activities in Two Distinct Multipotent Stem Cells."Molecular and Cellular Biology. (発表予定). (2004)