2005 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧とその合併症における血管運動中枢の分子機構の解明
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03J04808
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水谷 健一 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 高血圧 / RVLM / 血管運動中枢 |
Research Abstract |
循環中枢は、脳幹部RVLMに存在することが知られている。RVLMは、動脈圧受容器反射の中継点、ならびに交感神経自発放電発生源として重要なばかりでなく、様々な入力を統合して交感神経節前細胞に伝える起始核として働いていると考えられている。このRVLMニューロンは100個程度存在するとされているが、その機能は多様で、例えば皮膚血管はよりrostral側のニューロンが、交感神経はよりcaudal側のニューロンによって制御されていることが示唆されている。また、RVLMニューロンの一部は、低酸素刺激に対して興奮を増大させる一方で、抑制的に働くニューロンの集団も存在すると考えられており、脳卒中などの病態における役割についてもその重要性が指摘されている。 RVLMの機能を詳細に解析するには、まず、これらの領域特異的なニューロンを可視化する必要がある。申請者はこれまで、in utero electroporationを用いてマウス中枢神経系に領域特異的、時期特異的に遺伝子を導入する手法を開発してきた。in utero electroporationは神経幹細胞、および分化したニューロンに簡便に遺伝子導入が可能である利点があるものの、遺伝子導入効率を制御する事が難しく、またパルスによる脳へのダメージが避けられないことから、水頭症をはじめとして様々な障害をもたらすことが懸念される。本年度は、超音波顕微鏡を用いて、胎生期のより早い時期、限られた領域に遺伝子を導入する技術を確立するとともに、ウイルスベクターを用いた手法でRVLMの特定の領域のニューロンを可視化する技術を確立した。これらの技術は、循環中枢の機能解析に不可欠であり、RVLMニューロンの機能解析、さらには虚血時など、病態との関連性に関して、検討を進めている。
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Research Products
(1 results)