2003 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷バイバスに関わるDNAポリメラーゼκと細胞周期チェックポイントとの関り
Project/Area Number |
03J04827
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
官上 真子 京都大学, ウイルス研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | POLK / 損傷バイパス / チェックポイント |
Research Abstract |
ゲノムDNAには紫外線、放射線、化学物質などの環境要因や、細胞内代謝産物による活性酸素の発生などにより常に様々な損傷がおこっている。未修復のDNA損傷部位に複製型DNAポリメラーゼが遭遇した場合にはそこで伸長反応が停止するので、細胞周期が完全に停止するのを防ぐために一時的に損傷をバイパスする酵素が働くと考えられる。ゲノムDNA上の損傷が感知されると、チェックポイントと呼ばれる機構が働いて細胞周期を停止させ、それとともにDNA損傷を修復する機構も活性化される。チェックポイント機構は損傷DNAを修復するための時間稼ぎとも考えられる。ヒトではDNA損傷バイパスに関わるDNAポリメラーゼは、Polζ、Polη、Polι、Polκ、REV1の5つが報告されている。それぞれの損傷バイパス型DNAポリメラーゼはバイパスできるDNA損傷が異なっていると考えられる。突然変異の発生を抑止するためには、DNA損傷の種類に応じた酵素が損傷箇所に効率良くリクルートされねばならない。この際の複製型DNAポリメラーゼと損傷バイパスポリメラーゼの置換においてREV1を中心とした損傷バイパスポリメラーゼの緩やかな複合体ができるという仮説が考えられ、この緩やかな複合体からなんらかのシグナルが伝達されることによりチェックポイントとの連動がおこるという可能性が考えられる。そこで本年度はこの緩やかな複合体に焦点を絞って解析を行い、現在Gene to Cellsに投稿中である。
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