2004 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷バイパスに関わるDNAポリメラーゼκと細胞周期チェックポイントの関り
Project/Area Number |
03J04827
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
官上 真子 京都大学, 放射線生物研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | TL3 / Pol kappa |
Research Abstract |
本年度はPOLKがいかにして複製型ポリメラーゼと置き換わってDNA損傷の修復が開始されるかということに主眼をおいて、その他の損傷バイパスポリメラーゼであるPolη、Polι、hREV1との相互作用について研究し、論文として発表した(Genes to Cells Volume 9 Issue 6 Page 523-31)。この論文はこれまで個々の損傷バイパス機能の特性にのみ焦点があてられ研究が進められていたのに対し、損傷バイパス機構全体としてどのように連動して働いていくのかというところに注目して研究を進めた結果、REV1を中心とした損傷バイパスポリメラーゼ群の大きな複合体の存在を示したことである。今後この視点から研究が進められることによりチェックポイントとの関りに関してもさらなる成果が期待できる。 POLκ-POLι欠失マウスを作成し、このマウスにおけるimmunoglobulinのsomatic hypermutationについての研究も行い、論文として投稿、受理されて現在in pressである(immunology letters)。somatic hypermutationの正確なメカニズムについてはいまだよく解明されていないが、error proneなDNAポリメラーゼの関与を示唆する報告がある。POLκ欠失マウスとPOLι欠失マウスにおいては正常なsomatic hypermutationが見られるので、これらは機能的に相補しあっていることが考えられた。そこで本研究ではPOLκ-POLι欠失マウスにおけるsomatic hypermutationのエラー頻度及びエラー箇所を解析するなどの研究を行った。その結果POLκ-POLι欠失マウスにおいても正常なsomatic hypermutationが見られた。本研究はsomatic hypermutationにおいて損傷バイパスポリメラーゼ同士が機能的に相補しあっている可能性を示唆しており、その点からみて重要な知見である。 さらにDNA損傷修復とチェックポイントとの関りを解明するために、DNA損傷修復機構との強いつながりが示唆されているスピンドルチェックポイントについて研究を行った。その結果スピンドルチェックにおいて重要な役割を果たすMAD2のリクルート及びチェックポイントの解除に関ると思われるタンパク質CMT2、DNCl、EB1を含む複合体の存在を明らかにし、現在論文準備中である。
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Research Products
(2 results)