2004 Fiscal Year Annual Research Report
内分沁撹乱物質が雄マカクザルの精子形成に及ぼす影響-ヒト精子形成障害モデルの確立
Project/Area Number |
03J04832
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 麻里子 (大塚 麻里子) 京都大学, 霊長類研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ジエチルスチルベストロール / 精巣 / 精子形成 / ホルモン / 内分泌撹乱物質 / マカク |
Research Abstract |
本研究は、マカクサルに内分泌撹乱物質を経口投与した場合の精巣機能および精子形成能の変化について調べている。 今年度は、昨年度に引き続き成熟オスマカクサルに内分泌撹乱物質であるジエチルスチルベストロール(DES)を4日間または10日間経口投与した実験について、内分泌学的な変化を観察した。具体的には、DES投与前、中、後に血液を採取し、血液中の卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、テストステロン、エストラジオール、レプチンの濃度を測定したところ興味深い結果が得られた。血液中のFSH、LH、テストステロン濃度はDES投与後1日目で投与前に比べて急激に減少した。その後10日目までほぼ、同じレベルを維持した。また、血液中エストラジオール濃度はDES投与1日目より緩やかに減少し、血液中レプチン濃度はDES投与1日目より緩やか増加した。以上の結果から、成熟マカクサルに内分泌撹乱物質の1つであるDESを経口投与することにより、視床下部-下垂体-精巣軸の調節に大きな影響を与えることが本研究により明らかになった。来年度はエストロゲンレセプターαおよびβの発現について調べる予定である。エストロゲンレセプターの内分泌器官における発現は、DESを投与されることにより変化することが予想され、この研究から得られた結果によりDESの内分泌器官における作用機構が明らかになることが期待される。さらに各種内分泌組織において3'エンドラベリング法を用いてアポトーシス細胞の検出を行うとともに、細胞増殖因子(PCNA)陽性細胞の検出を行いDES投与群と未投与群で比較する予定である。
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