2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04835
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
座馬 耕一郎 京都大学, 霊長類研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | チンパンジー / Pan troglodytes / マハレ山塊国立公園 / 毛づくろい行動 / 利他行動 / シラミ / 外部寄生虫 |
Research Abstract |
野生チンパンジーが個体間でどのような利他行動をおこなっているか、タンザニア、マハレ山塊国立公園において野外調査をおこなった。調査期間は2004年5月9日から8月8日までである。集団内でチンパンジーが利他行動をどのようにやり取りしており、またそのやり取りが血縁選択モデルや互恵的利他主義で説明可能か分析するため、とくに他個体から外部寄生虫を除去する利他行動である毛づくろい行動を中心に資料収集をおこなった。前年度以前におこなった、オトナ期とワカモノ期のチンパンジーの資料と比較するため、チンパンジー集団においてコドモ期のチンパンジー7個体(メス5頭、オス2頭)を対象に個体追跡をおこなった。毛づくろい行動についてはビデオに記録した。このビデオ資料を日本に持ち帰り、2004年8月から2005年3月まで、毛づくろいのやり方、とくに毛づくろいの持続時間、除去効率、かき分け間隔、毛づくろい相手の選好性などの各項目について、ビデオから観察をおこなった。 チンパンジーの毛づくろい行動の特徴を明確にするために、前年度以前に収集したニホンザルおよびヒトの毛づくろい行動と比較をおこなった。霊長類の間で外部寄生虫を除去する際の動作の差異から、チンパンジーの毛づくろいの利他行動としての特徴を明らかにする目的である。分析から、野生チンパンジーがニホンザルやヒトよりも、1回のかき分けの動作により時間をかけていることがわかった。 毛づくろい行動が利他行動としてどれほどの利益があるか評価するために、この行動で除去されているシラミの量的評価をおこなった。これは上記のタンザニアにおける野外調査において実施した。チンパンジーが樹上に作るベッドから毛を443本収集し、毛に付着しているシラミ卵を2個観察した。この結果は前年度以前の調査結果から大きくはずれるものではなかった。
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