2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04845
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊勢戸 徹 京都大学, 総合博物館, 特別研究員(PD)
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Keywords | 内肛動物 / 曲形動物 / 分類 / 新種記載 / 沖縄 / ロクソソマ / ミトコンドリアゲノム / 系統 |
Research Abstract |
琉球列島の沖縄島と瀬底島からLoxomitra属とLoxosomella属のそれぞれ1新種を記載した。両種はそれぞれ漁港および臨海実験所の水槽に設置したスライドガラスに付着してきたものであるため、宿主を持たない非共生性の種であると思われる。8月に採集されたLoxomitraには胚と幼生を保育している個体があった。Loxomitra属について初めてとなる幼生の形態についても報告した(印刷中)。 単体性内肛動物の足(基部の付着器官)の形態にはいくつかのパターンが見られ、属を区別する際には最も重要な分類形質となっている。しかし、その構造を組織学的に調べた例は極めて少なく、分類形質としての詳細な構造比較が必要である。本研究では、Loxosoma、Loxosomella、Loxocorone、Loxomitra属のそれぞれ1種について足の構造を透過型電子顕微鏡で観察してきたが、足を構成する細胞種、および足の構造から見た各属の特徴を把握することができ、属間での足構造の相同性や相違点について論じた(第76回日本動物学会で発表)。これによって属間の系統と属の再検討の考察を試みたが形態情報だけからは明確なことは言えなかった。 そこで、東京薬科大の横堀伸一助手らと共同で複数種の内肛動物の核ゲノムとミトコンドリアゲノムのいくつかの遺伝子について塩基配列の解読を試みた。現在のところ、2種の単体種のミトコンドリアゲノムの全配列を解読し、後生動物全体の中での系統論的考察を進めている(第76回日本動物学会で発表)。その後、さらに種数を増やし内肛動物の内部での系統論を論じるデータの集積も進めている。
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Research Products
(1 results)