2003 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疾患を生きる人々とQOL(クオリティー・オブ・ライフ)重視の医療の接点
Project/Area Number |
03J04853
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福島 智子 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 慢性疾患 / 生活習慣病 / 糖尿病 / 語り(ナラティブ) / 医療社会学 |
Research Abstract |
国立N病院における入院患者を対象として、クリティカルパス(標準治療計画)に沿った利用者経験に基づく聞き取り調査を実施した。調査対象として、精査加療の目的での計画的な短期入院が行われる慢性疾患である糖尿病患者(今年度の事例数10例)を選択した。一対象者につき、一回一時間程度の聞き取り調査を、各調査期間中(平均在院日数10日)に5〜10回実施した。医療社会学的視点に依拠しながら、慢性疾患患者が現在抱える不安や不満に焦点を当て、患者の「病いの経験(意味づけ)」、「語り:ナラティブ」を記述した。 現在は、調査によって得られた膨大なデータを整理し、ミクロな分析から新たな知見を得るべく、次年度にむけて学会報告準備、学術雑誌投稿準備を行っている。これまでにまとめつつある研究成果として、以下2点があげられる。まず、合併症予防を目的とした現在の治療に対する患者のコンプライアンスと、自分が糖尿病であるという認識とに、医学的数値(血糖値など)が深く関連しているということ。また、「病む」という経験がどのように始まり、厳格な食事制限などを含む治療を受け入れていく過程において、患者が直面する困難に、疾病に対する自責の感情が存在するということ、をそれぞれ明らかにした(学会報告は既に行っており、現在論文準備中)。
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