2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04875
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三原 就平 京都大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員DC2
|
Keywords | ジョン・ロック / 自然法論 / 17世紀 / 哲学 / イングランド / 粒子哲学 |
Research Abstract |
昨年度のはじめに、全国の大学の哲学教授が主要メンバーである、京都哲学史研究会において、『ロックの観念説の背景』の題で研究発表を行い、出席者から活発な質疑を受け応答する機会を得た。その後、平成15年度科学研究費補助金により可能となった資料収集及びそれらの十分に時間をかけた読解により、特に以下の四点において、研究を発展させた。1.グロティウス、プーフェンドルフ、カンバーランド等の自然法論者とロックの立場を、神学、認識論、自然哲学において比較検討し、ロックの特徴の明晰化を追求した。2.グロティウスのみならず、ケンブリッジ・プラトン派やロックに対しても影響や立場上の一致が大きい、オランダのアルミニウス派に着目し、これと対立したカルヴァン主義者との論争における、神学及び認識論上の諸問題を調査、考察した。3.17世紀当時粒子仮説が持っていた意味を探るため、引き続きロバート・ボイルの著作を調査すると共に、ボイルと粒子仮説において対立点のあった、ホッブズ、ヘンリー・モア、スピノザとの応答を考察し、さらにガッサンディやベルニエ等の、大陸のエピクロス主義者達の立場をも比較検討した。4.ロックの自然法論を理解する上で不可欠な人格に関する哲学的な考察を検討し、これに関わるロックの本質論を理解するために、ニュートンの存在論について検討した。本年度は、以上の成果を踏まえ、積極的に学会等で積極的に発表の機会を持つ予定である。
|