2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04875
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三原 就平 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ジョン・ロック / ロバート・ボイル / カドワース / カンバーランド / 自然法論 / 17世紀 / 自然哲学 / 理性 |
Research Abstract |
ロックの自然法論、道徳論を、科学や宗教についての彼の思想と関連付けて理解することを目指して研究を進めてきた。『ロックの自然神学』では、啓示宗教論を除いた、より哲学的なロックの神学の特徴と彼の自然法論の関連を探り、『自然法論』や『人間知性論』あるいは『日誌』等に見られるロックの自然神学にまつわる文言を検討している。『ロックとボイルの比較』では、ロックにおける粒子論的自然学と理性の概念を、ボイルとの比較を通して明確化し、それがロックの自然法論の背景として持つ意味を考察した。このためにそれぞれ、ボイルの『形相と性質の起源』や『理性の上方のものについての対話』等を検討した。『ロックの観念説とボイルの理性論』では、このうち特にボイルの理性論の紹介に重点を置き、人間理性の能力の限界画定について論じるボイルの著作が置かれた当時の神学論争の文脈や、この議論のためにボイルのテキスト中に出されている様々な例を、詳しく示した。『ロックにおける自然法論と自然哲学』では、ボイルの『目的因についての論考』をも踏まえ、特に自然法論との関連という観点のもとで、ロックの哲学の中での目的因の位置付けや、目的原因の追求と自然学との関係等について考察した。『ロックの哲学における道徳論と理性』では、カドワース及びカンバーランドの道徳の認識論や、道徳論の背景としての自然哲学をロックのそれと比較し、カドワースの『宇宙の真の知性的体系』『永遠不変の道徳についての論文』やカンバーランドの『自然法についての哲学的論考』をロックの思想と対照しながら検討しており、それを通してロックの道徳論の特徴を明確化し、ロックの哲学の中での理性の位置付けについて論じている。
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Research Products
(6 results)